プロジェクトの成否に深くかかわるプロジェクトマネージャーは、さまざまな知識やスキルを要求されるポジションです。プロジェクトマネージャーとして活躍されている方は、活躍されるまでに相当な労力や時間を費やして実力を培われたことでしょう。
では、プロジェクトマネージャーになった後のキャリアは、どのように発展させたらよいのでしょうか。
この記事では、プロジェクトマネージャーがキャリアプランを立てる理由から代表的なキャリアプランまで解説します。プロジェクトマネージャーが自身の市場価値を高める方法にも言及しますのでぜひご覧ください。
プロジェクトマネージャーがキャリアプランを立てる理由
キャリアプランとは、自分の理想とする職歴や経歴を実現するための具体的な行動計画を指します。キャリアプランを立てる大きな理由は、理想を達成するために必要な行動が明確になることです。結果的に、仕事へのモチベーションも維持・向上しやすくなります。
また、昇進の打診をうけた場面でも、キャリアプランを立てていれば、自身の目標に基づいた的確な判断が可能になります。後悔しない選択につながるのです。より具体的な意義について、次章で解説します。
多彩なキャリアを描けるから
プロジェクトマネージャーは、これまで培ってきた知識・スキルを生かして、多彩なキャリアを描ける職種です。例えば、現場の知識やスキルを生かしたい方には、ITスペシャリストになる道があります。企業の課題解決をサポートしたい方なら、ITコンサルタントが向いているでしょう。どちらも、プロジェクトマネージャーとしての経験を生かして働ける職種です。キャリアプランを立てておけば、多彩なキャリアの中から、自分にとって最適な職種を選べるようになります。
優秀なPMは多くの企業・職場に求められるから
プロジェクトを成功に導く優秀なプロジェクトマネージャーは、企業にとって大きな利益をもたらす存在です。多くの企業・職場から高く評価されるため、同業他社からのスカウトやコンサルタント業の依頼など、さまざまなチャンスを得られるかもしれません。
複数の選択肢がある中で、あらかじめキャリアプランを立てておけば、自分の理想に近い選択肢が何かわかります。後悔しない選択につながるのです。仮に具体的な理想像を描けない場合でも、大切にしている価値観や向き不向きを把握しておくことで、自分にあった選択肢を選べるでしょう。
効率的なスキルアップに役立つから
優秀なプロジェクトマネージャーは、さまざまな企業・職場から求められる反面、同業者との市場競争も激しくなる職種です。市場競争を勝ち抜くためには、最新のトレンドや技術を学びスキルを磨き続ける必要があります。
あらかじめキャリアプランを立てておけば、自身の目標から逆算して、身につけるべきスキルを明確にできます。現在の自分の立ち位置を客観的に捉えることで、効率的にスキルアップを測ることも可能になります。
「あれもこれも」と無計画に学ぶよりも、モチベーションを維持しやすくなるだけでなく、本当に必要なスキル獲得に注力できるのです。時間とリソースの有効活用につながります。
プロジェクトマネージャーの代表的なキャリアプラン
プロジェクトマネージャーの代表的なキャリアプランを5つ解説します。自身の得意分野や価値観などと照らし合わせながら、自分にあったプランを探してみてください。
PMO
PMOは、プロジェクトマネジメントのスペシャリストを目指したい方におすすめのキャリアプランです。
PMOとは、Project Management Officeの略称で、プロジェクトマネジメントを支援する組織を意味します。主に大規模なプロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーを支援します。
具体的には、プロジェクト達成に必要な予算や人員の調整、関係者間での利害の調整など、プロジェクトを側面から支援します。また、部門をまたいで打ち合わせを行ったりと運営事務局としての役割を果たす点も大きな特徴です。
PMOでは、プロジェクトマネージャーをサポートする役割が中心となるため、プロジェクトマネージャーとしての知識や現場経験を十分に積むのが成功の近道となるでしょう。
ITスペシャリスト
ITスペシャリストは、ITに関する高度な知識やスキルを生かして、プロジェクトを技術的な側面から成功に導く職種です。プロジェクトを土台から支えたい方にも、おすすめのキャリアプランとなります。
ITスペシャリストとして活躍するためには、技術的な課題を解決できる力量が必要です。現在の職場で着実にスキルを高めて、得意分野を構築することが成功のカギとなります。
ITベンダーの経営層
プロジェクトマネージャーで培った経験を生かし、「製品開発ではなく、組織全体のマネジメントを牽引したい」という方におすすめなのが、ITベンダーのCIOです。
CIOとは、Chief Information Officerの頭文字をとった略称で、最高情報責任者のこと。企業の情報戦略を統括する重要な役職です。
ITベンダー企業で豊富なマネジメント実績を積んだ方であれば、別の企業のCIOに転職するチャンスはあります。プロジェクト遂行力と経営的な視点があることを面接などで効果的にアピールしましょう。
ITコンサルタント
企業が抱えるさまざまな課題に対して、ITを活用した解決策を提案する職種がITコンサルタントです。
ITコンサルタントは、表面的な課題を解決することよりも、クライアントが抱える本質的な課題に踏み込む必要があります。そのため、クライアントとの信頼関係を結ぶためのヒアリング能力や提案力が必要となります。
したがって、ITコンサルタントは、ここまで紹介してきたキャリアプランの中でも総合的な能力が要求される職種といえるのです。プレゼンテーション力や進捗管理能力なども磨いていきましょう。
フリーランスとして独立
自らビジネスチャンスを切り開きたい方や柔軟な働き方を求める方には、フリーランスというキャリアプランが考えられます。
フリーランスに転職した場合、自身で新規顧客の開拓や案件の交渉などの重要な案件をこなしていかなくてはいけません。
また、安定した収入を確保するためには、成功の可能性が高い計画を立て、顧客を継続的に開拓する必要もあります。
一方で、就業時間や働き方を自由に選べる、自分の好きな仕事に取り組める、自分の力で開拓していけるといった点がフリーランスの大きな魅力です。
メリット・デメリットの両方を確認したうえで、自身にフリーランス適性があるかどうか考えてみてください。
プロジェクトマネージャーが市場価値を高める方法
プロジェクトマネージャーとしての市場価値は、どのように高めたらよいのでしょうか。ここでは4つの効果的な方法を解説します。
専門スキルの向上
プロジェクトマネージャーに最も求められる役割は、プロジェクトを成功に導くことです。プロジェクトマネージャーには、以下のような専門スキルが求められます。
- コミュニケーションスキル
- IT業界についての専門知識
- 業務プロセスの改善スキル
- リスク管理能力など
これらのスキルを継続的に磨くことが、市場価値を高める最も基本的な方法となります。
例えば、業務プロセスの改善スキルを高めたい場合や専門知識を身につけたい場合は、専門書の購読、セミナーへの参加、資格取得、オンライン研修などを活用して、新しいトレンドや技法を身につける方法が効果的です。
コミュニケーションスキルを磨きたい場合は、チームメンバーとの意見交換の場を設けて、それぞれの意見に耳を傾ける姿勢が重要となります。
参考：プロジェクトマネージャーにおすすめの本6選！知識を定着させるコツも紹介！
資格の取得
専門資格の取得も、プロジェクトマネージャーの市場価値を高める有効な方法です。資格取得にかかる勉強を通じて、自身の知識やスキルをブラッシュアップできるほか、クライアントに資格保有者であることを伝えれば、信頼を獲得しやすくなります。
プロジェクトマネージャーの代表的な資格がこちらです。
- プロジェクトマネージャ試験
- PMOスペシャリスト認定資格
- PMP
- 基本情報技術者試験
- P2M資格試験
転職の場面では資格保有者が有利に評価される場面も多いため、自身の望む条件で転職活動を進められるでしょう。
ただし、多忙なプロジェクトマネージャーにとって、資格取得に向けた学習は決して簡単なことではありません。受講費用の負担も少なくありません。しかし、その苦労を乗り越えて資格を取得できれば、市場価値の向上を期待できます。
各資格の具体的な内容については、以下の記事も参考にしてみてください。
参考：プロジェクトマネージャーに資格は必須？持っていると便利な資格はどれ？
幅広い人脈の構築
幅広い人脈を持つことは、プロジェクトマネージャーにとって大きな強みとなります。人脈を構築する主なメリットがこちらです。
- キャリアアップのチャンスが増える
- プロジェクトに適切なメンバーを見つけやすくなる
プロジェクトと同じ分野の専門家とつながりを持てば、貴重な情報やアドバイスをもらえる機会が増えるでしょう。
業界のセミナーやイベントに積極的に参加して、交流を深めることをおすすめします。自然と人脈を広げられるため、キャリアアップの近道となるでしょう。
スタートアップ企業でのキャリア形成
プロジェクトマネージャーの市場価値には、これまでの経歴も大きく影響します。その中で、スタートアップ企業での実績は有効な手段となります。
なぜなら、スタートアップ企業でのプロジェクトでは、限られた予算や人員でいかにプロジェクトを成功に導くかが重要であるからです。
そうした困難な状況を乗り越えたプロジェクトマネージャーは、別の企業から高く評価される傾向にあります。
一見敬遠されがちなスタートアップ企業での勤務経験も、プロジェクトマネージャーにとって市場価値を高める有効な手段となるのです。
まとめ
多彩なキャリアプランを描けるプロジェクトマネージャー。
自身の能力を十分に生かし、新しい道で活躍するためにも、まずは自身の理想像を描くことから始めてみてください。
キャリアプランを立てて、それに基づいた行動を重ねていけば、自然とプロジェクトマネージャーとしての市場価値も高まります。ぜひプロジェクトマネージャーとして、自身が理想とするキャリアを歩んでください。
